資産運用の商品を選ぶポイント 収益性編
資産運用でお金を増やすコツは、「いかに利益が出る商品に投資するか」。
投資する商品が優秀かがとても大切です。
優秀な運用商品を選ぶ3つのポイントは収益性、安全性、流動性。
これらについて2回にわけて解説します。
収益性とは?
収益性(リターン)とは、たとえば投資額(元本)が100万円の場合、100万円が将来いくらに増えるかということです。
お金を増やすための資産運用なので、必ず投資前に確認しましょう。
収益性の確認方法は、商品の種類によって少し違います。
(商品の種類の詳細については「運用が貧富の差を分ける!資産運用の超・基礎編」をご覧ください。)
確定利回りの商品では…
確定利回りの商品の収益性
確定利回りの商品では、投資額に対して何%増えるという利率が当初から決まっています。
その商品の利率をきちんと数字で確認しましょう。
その際、運用期間が様々な商品がありますので、どの商品も1年間に増える率(=年利)に直すと比較ができます。
「税引き後の」年利が高い商品の方が、利益が出る可能性が高いということになります。
(税金については「運用商品の税金」に記載しています。)
商品案内などに年利が載っていないときは、下記の計算で年利を出すことができます。
(積立型商品の年利の出し方は、ご質問があれば別途コラムに書きます!)
具体的な商品の例と注意点
注意が必要な確定利回りの商品をみてみましょう。
なお、保険商品の年利の計算は、満期や解約の年に他の収入がなく税金がかからないものとします。
・学資保険(こども保険)
学資保険も含めた生命保険では、満期金が同じでも年齢や性別などによって保険料が違うので、資産運用としての利率はご自身の保険契約の内容をもとに計算することになります。
たとえば、子どもが0才のときに100万円を保険料として支払って、18才のときに105万円の満期金がもらえるなら、年利は約0.28%となります。
保険では「戻り率(返戻率)」という言葉を使い(上記例では戻り率105%)、お金がとても増える印象を受けますが、他の商品と比べるときは年利に直して比較しましょう。
・終身保険
終身保険では、パンフレットなどの目につく場所に「積立利率」などとして年利が表示されていることがあります。
ただ、これは、積立金(将来の保険金を支払うために、保険料の中から積み立てた部分)に対する利率ですので、実際に支払った保険料に対する利率ではありません。
資産運用の商品として考えるときは、やはり、ご自身が支払った金額(保険料)がどのくらい増えるのか?を確認しましょう。
そして、保険なので、ご自身の契約の内容をもとに計算してください。
たとえば、35才のときに約195万円を保険料として支払って、45才のときに解約して約202万円を受取れるなら、年利は約0.36%となります。
なお、同じ保険を60才のときに解約すると約222万円が戻ってくるので、年利は約0.55%となります。
このように、終身保険は満期がなく、現金にする(=解約する)時期によって年利が違います。
比べるときは、比較する商品と同じ運用年数で比べましょう。
比較対象の商品に満期がない場合は、ライフプランから「そのお金を使うであろう時期」を確認して運用期間としましょう。
(ライフプランについては、「第1回 消費税アップの今、ライフプランを見てみましょう!」をご覧ください。)
・預貯金
預貯金は通常、年利の表示があります。
ただ、年利は書いてあるものの、小さな文字の注意書きなどをよくみると、満期が1ヵ月など、1年より短い定期預金などがあるので気をつけてください。
この場合は、満期が過ぎると、日本円であれば0.02%など通常の預貯金の金利に戻ります。
そのため、満期が1年未満の場合、同じ年利なら満期が長い方がよりお金が増える商品といえます。
利率が変動する商品
預貯金や生命保険には、利率変動型などといって当初の利率が世の中の動きに合わせて変動する商品があります。
その場合には、世の中の流れとして金利が上下どちらの方向にどの程度動きそうかや、利率に最低保証があるかも考慮して検討しましょう。
最低保証の有無は、商品パンフレットの小さい文字の注意書きなどに書いてあることもあります。
注意書きには大切なことが書いてある場合もあるので、必ず読むようにしましょう。
価格が変動する商品の収益性
収益性をみるポイント
価格が変動する商品は、確定利回りの商品と違って利率が約束されていません。
そのため、過去の運用実績をもとに今後の収益性を予想します。
ポイントは、その商品の「販売開始」から「今まで」の「平均」の「年利」で比べることです。
投資信託でよく出てくる、直近3年など期間を区切った「騰落率」ではありません。
(投資信託については「よく勧められる投資信託」をご覧ください。)
販売開始からの期間が長いのに、平均の年利が高い商品は優秀な商品の可能性があります。
年利が出ていない場合は、上記の確定利回りの商品と同じ式で計算できます。
具体的な商品の例と注意点
初めて資産運用をする方がよく勧められる投資信託を例に取ってみましょう。
投資信託の商品内容を調べるには、投信会社のホームページにあるその投資信託の週報(ウィークリーレポート)や月報(マンスリーレポート)をみたり、モーニングスターなどの比較サイトをみます。
いずれも投資信託の商品名で検索すると情報が出てきます。
たとえば、投信会社のレポートでみてみましょう。
「販売開始」はその投資信託の「設定日」です。
「設定日」の記載がない場合、新しい投資信託が発売されるときは1口1万円ですので、「チャート(値動きのグラフ)」の「基準価格(1口あたりの価値)」が1万円の時点をみればわかります。
この投資信託では設定日が2005年9月1日ですので、運用期間は約10年となります。
(このコラムは2015年に執筆したので運用期間は約10年としていますが、商品を選ぶコツの説明にはさほど影響を与えませんので、この点は情報を更新していません。)
次に、販売開始から今までどのくらい利益が出ているかは、設定来の騰落率をみます。この投資信託では、設定日から37.44%増えています。
ここからは、たとえば、この投資信託に発売当初に100万円を投資したとして年利を計算してみます。
その際は、青枠の部分に注意します。
・手数料
このレポートでは、投資信託にかかる手数料のうち「信託報酬控除後の値」となっています。
販売手数料や信託財産留保額がある場合は、さらに差し引く必要があります。
この投資信託の場合は、販売手数料が発売当初3.15%ですので、実際の投資額は100万円×(1-3.15%)=968,500円となります。
・税金
設定来の騰落率37.44%は「税引前」となっており、通常は利益に対して20%の税金がかかります。
(実際には、さらに復興特別所得税もかかります。)
968,500円×37.44%=362,606円の利益から税金を引くと、362,606円×(1-20%)=290,084円となります。
そうなると、年利は約2.995%です。
・分配金の受取り
この投資信託は、実は分配金を3ヵ月に1回現金として受取れる仕組みですが、「37.44%」は分配金を受取らずそのまま「再投資」した前提の数字です。
3ヵ月に1回受取った分配金を投資せず使っていた場合は、年利は約2.995%よりもさらに低くなります(計算すると約2.285%となります)。
※初稿は、子どもが小さい「新40代」女性のためのwebマガジン「Prime mama」に掲載されています。
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