よく勧められる投資信託
銀行や証券会社などで資産運用をしたいというと、よく勧められる投資信託。
その仕組みと落とし穴をお伝えします。
投資信託とは?
投資信託とは、個人などの投資家からお金を集め、集めたお金で投資のプロ(ファンドマネージャー)が債券や株式などを売買し、そこで得た収益を分配金や投資信託の値上がり益として投資家に還元する仕組みの運用商品です。
(債券や株式については「運用が貧富の差を分ける!資産運用の超・基礎編」をご覧ください)。
投資信託には3つの特徴があります。
・少額から投資できる
個別の債券や株式などに投資する場合は、商品によっては数万~数十万円ないと投資できないものもあります。
でも、投資信託なら500円などから投資できる商品もあり投資しやすくなっています。
・投資のプロが運用してくれる
自分で資産運用をする場合は、自分の判断でどの商品をいつ買ったり売ったりするかを決める必要があります。
でも、投資信託では投資のプロが判断してくれるため、投資経験の浅い人でも本格的な投資をすることができます。
・分散投資によりリスクが少ない
分散投資については詳しくは「実際に資産運用するには?運用方法の基礎編」でご説明していますが、資産運用では、多くの商品に投資するほど運用のリスクは低くなるといわれています。
(運用のリスクについては「運用が貧富の差を分ける!資産運用の超・基礎編」をご覧ください)。
投資信託では、1つの投資信託でも数百などの個別銘柄(○○会社の株式など)に投資しているので、1つの銘柄に投資するよりリスクは低いといえます。
投資信託のリスク
上記の投資信託の仕組みと特徴から、営業さんは「投資信託は初心者でもでき、リスクも低くて良いですよ」といいます。
でも、これを鵜呑みにしてはいけません。
ファンドマネージャーが選ぶ、投資信託で集めたお金の投資先は、日本国内や海外の債券や株式、不動産などです。
具体的にどこに投資しているかは各投資信託によりますが、たとえば、日本株式をとってもリスクは非常に大きいといえます。
たとえば、2005年~2015年の日経平均株価(日本の代表的な企業225社の平均株価)の値動きが下記のグラフですが、この10年間では、ピーク時の半分以下に下落した時期もあります。
【日経平均株価 表示期間 月足10年】
日本の株式でさえこのような動きですので、海外、特にインドやブラジルなどの新興国の株式に投資する投資信託などは、さらに激しく動きます。
この点から考えると、投資信託は、投資先によっては決してリスクが低いとはいえません。
投資信託の手数料
また、投資信託で運用すると、投資信託の商品によって具体的な金額は違いますが、下記の手数料がかかります。
・購入時手数料(販売手数料)
投資を始める(投資信託を購入する)ときに支払う手数料で、3%程度の投資信託もあります。
ノーロードファンドといって購入時手数料がかからないものもあります。
・信託報酬(運用管理費用)
投資信託で運用している間に支払う手数料で、1%程度などの設定がされています。
実際には、「設定された%÷365日」が毎日その日の残高に対してかかります。
・信託財産留保額
解約するときに支払う手数料で、かからない投資信託もあります。
とくに、信託報酬は利益が出ているかどうかに関係なく毎日支払うので、投資信託は他の運用商品よりも利益を出しにくくなっています。
たとえば、購入時手数料を差し引いた投資額が100万円、信託報酬が1%のとき、投資から1年間まったく値動きをしなかったとすると、1年間で100万円×1%=1万円を信託報酬として支払います。
つまり、投資後なにもしなくても当初の100万円が99万円に減るのです。
言い方をかえると、この場合、1年間で1%以上の利益を上げないと損することになります。
現在の預貯金の利率が0.02%ほどであることを考えると、毎年1%以上の利益を上げることの大変さが伝わりますでしょうか?
投資信託は長期投資?
投資信託を勧められるときには、長期間運用するほどだんだんと安定的にお金が増えるといわれることもよくあります。
投資信託は、いったん運用を始めたら放置でき、手間がかからないというのです。
でも、上記のように投資信託の値動きは激しいものも多く、かつ、手数料があって利益を出しにくいため、いったん下がるとずっと元本割れしたままという話もよく聞きます。
それを防ぐためには、下がりそうなら早めにやめて、下がりきったところで再度投資するなどのメンテナンスは必要です。
ただし、確定拠出年金(401K、iDeCoなどともいわれます)や積立NISAについては、これらの制度に合った商品選択や運用のコツさえ踏まえれば、ある期間はメンテナンスをしないという選択も十分あります。
投資信託で運用するなら
投資信託は、運用商品としてダメなわけではありません。
ただ、リスクが大きく、高い手数料やケースによってはメンテナンスも必要なので、投資信託で運用したいならどの投資信託にするかを慎重に選ぶ必要があります。
運用商品を選ぶコツについては「資産運用の商品を選ぶポイント 収益性編」と「資産運用の商品を選ぶポイント 安全性編・流動性編」でご説明しますので、それを参考に慎重に「良い投資信託」を選ぶようにしましょう。
※初稿は、子どもが小さい「新40代」女性のためのwebマガジン「Prime mama」に掲載されています。
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