税金を安くするコツ~医療費控除などの上手な使い方~②
前回のコラムでは、“所得税を安くするコツ”の考え方についてお伝えしました。
今回は、具体的な中身をご説明します!
社会保険料控除
社会保険料控除は、納税者本人または配偶者、その他同一生計の親族の社会保険料を支払った場合に、支払った全額を所得控除にできるものです。
「社会保険料」とは、国民健康保険や国民年金、会社員の健康保険や厚生年金などの保険料のことをいいます。
保険料の金額は、収入などにより決まっているので、この点を調整するのは難しいといえます。
所得税を安くするコツとしては、親族の支払った社会保険料についてです。
親族が扶養から外れたり、自営業者などで、国民健康保険と国民年金の保険料の納付義務があるとき、必ずしもその親族が支払って、その親族の収入に対する社会保険料控除にする必要はありません。
前回のコラムでお伝えしたように、所得控除額が増えると、その増額分にその人の税率をかけた金額だけ所得税が安くなります。
誰の所得控除にするか選べるなら、税率の高い人の所得控除にするほど、所得税は安くなります。
医療費控除
医療費控除は、納税者本人または配偶者、その他同一生計の親族の医療費を支払った場合に、その金額が一定額を超えれば使うことができます。
具体的には、
「医療費-保険金などで補てんされる金額-10万円」
(総所得金額などが200万円未満の場合は、10万円に代えて「総所得金額等×5%」)
が医療費控除の金額となります(上限200万円)。
よく「医療費が年間10万円を超えたら医療費控除が使える」といわれているのは、この点をいいます。
所得税を安くするには、まずは、「医療費」の金額を正確に出すことが大切です。
「医療費」は、治療のために一般的にかかる費用ですので、必ずしも病院に行かなくても構いません。
ドラッグストアで風邪薬や湿布など、治療に必要なものを買った場合には、常識の範囲内であれば「医療費」に入れることができます。
医療費控除を使うには、医療費の領収書が必要ですので、日ごろから医療費にあたりうる領収書は取っておくようにしましょう。
次に、医療費控除も、同一生計の親族分を合算して、医療費控除として計上することができます。
同一生計の人の医療費を合算したうえで、その全額を、社会保険料控除と同じく、所得が高い人の医療費控除として確定申告することが、所得税を安くするコツといえます。
生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険料控除と地震保険料控除は、その保険の契約者の所得に対して使うことができます。
控除できる金額は次のとおりです。
平成23年以前に契約した生命保険(旧契約)については、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除の2種類があります。
それぞれ上記の枠が使え、最大10万円の所得控除となっています。
平成24年以降に契約した生命保険(新契約)については、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の3種類があります。
それぞれ上記の枠が使え、最大12万円の所得控除となっています。
旧契約と新契約の生命保険が両方あれば、原則として、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除は、それぞれ4万円が上限となります。
地震保険料控除は、次のようになっています。
やはり、社会保険料控除や医療費控除と同じく、所得が高い人が契約者になり、生命保険料控除や地震保険料控除を使った方が、所得税が安くなります。
ただし、生命保険料控除と地震保険料控除は、次の点に注意する必要があります。
・保険料の支払いが長期間になることも多いので、支払いの見通しも考慮して契約者を決めましょう。
・「支払った年間保険料」の上限以上に加入しても、控除額は増えません。
・保険金や解約返戻金(解約時に戻ってくるお金)をもらうときの税金が、契約者が誰かによって変わるので、その点も考慮しましょう。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は、多くは、確定拠出年金の掛金を支払った場合に使うと思います。
支払った掛金の全額を所得控除とすることができます。
確定拠出年金は、掛金は一定の範囲で自分で決められるため、掛金を高くするほど所得税は安くなります。
ただし、確定拠出年金は、原則として、60才まで積立てを続け、かつ、60才になるまでは引き出すことはできません。
所得税を安くすることだけを考えて掛金を高くすると、確定拠出年金としてはかなりの金額が積みあがっていても、60才より前で預貯金が底をつき、生活に困る事態も起こりえます。
必ず、将来設計も考慮に入れて考えるようにしましょう。
実は支出減にならない場合も
これまで、所得税を安くするコツをお伝えしました。
ただ、このことしか考えなかったために、家計全体として支出が増えてしまう場合もありえます。
たとえば、次のようなケースなどです。
・ギリギリ扶養から外れそうなとき
・所得が低い人の所得控除として計上した方がその人の税率が下がり、その方が支出減の効果が高いとき
このような場合には、あえて所得の低い人の所得控除を増やした方が、家計全体としての支出は減ることもあります。
特に、扶養から外れると、会社からの家族手当や家賃補助などが減るケースでは、節税よりも、扶養から外れるのを防ぐ方がいい場合もあります。
それぞれの事情によって違いますし、少しでも気になるなら、ご相談ください!
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